屋外広告は、予算によって選べる媒体や期待できる効果が大きく変わります。ただ、「何にどれくらい費用がかかるのか分からない」「限られた予算でも成果が出るのか不安」という担当者も少なくありません。実際には、地方の小規模媒体であれば10万円台から始められるケースもあり、目的やエリアに合った選び方をすれば成果につなげやすくなります。まずは予算別にできることや費用相場を整理し、自社に合う屋外広告の選び方を見ていきましょう。
屋外広告の費用相場はどれくらい?知っておきたい予算の考え方
屋外広告の費用は、選ぶ媒体や掲出場所によって大きく変わりますが、まず押さえておきたいのは「広告枠の料金だけで完結しない」という点です。屋外広告の費用は、大きく「媒体費」「制作費」「施工費」の3つに分かれます。
媒体費は、看板やサイネージの掲出枠を借りるための費用です。立地や通行量によって差があり、駅前や幹線道路沿いは高額になる傾向があります。
制作費は、デザイン制作や印刷にかかる費用で、媒体の種類・サイズ・仕様によって幅があります。
施工費は、看板の設置工事にかかる費用で、高所作業車費用や足場設置費などが別途発生するケースも少なくありません。
このほか、自治体によっては「屋外広告物条例」に基づく許可申請が必要となり、申請代行費や更新費がかかる場合もあります。媒体ごとの具体的な費用感は、次の章で予算別に整理していきます。
屋外広告は予算別で何ができる?媒体と費用の目安を比較
屋外広告を検討する際、多くの担当者が気になるのが「この予算で何ができるのか」という点です。実際には、電柱広告のように月額数千円から始められる媒体もあれば、渋谷スクランブル周辺の大型ビジョンのように1週間で1,000万円を超える媒体まで、選択肢は非常に幅広く存在します。
ここでは予算帯ごとに選べる媒体と掲出規模の目安を整理します。なお、以下に紹介する料金はいずれも媒体資料や公開情報をもとにした目安であり、サイズ・エリア・時期・枠数によって変動します。
| 予算 | 主な選択肢 | 掲出期間の目安 | 向いている目的 | エリア規模 |
| 10万〜30万円 | 電柱広告、地方の野立て看板、駅構内サイネージの一部枠、車内ポスター | 1週間〜2か月 | 地域集客・店舗認知 | 市区町村単位 |
| 50万〜100万円 | 壁面看板、ロードサイン、屋外大型ビジョン(地方)、バス車体広告 | 数週間〜1年 | エリア認知・キャンペーン | 市〜県単位 |
| 300万〜1,000万円 | 都心の駅サイネージ、中吊り広告(路線セット)、車体ラッピング、屋外ビルボード | 1週間〜数か月 | 広域認知・ブランディング | 都市圏単位 |
| 1,000万円以上 | 渋谷スクランブル周辺の大型ビジョン、ドア横ポスター大型展開、ADトレイン+複数編成ラッピング | 1〜数週間の短期集中 | 全国認知・大型キャンペーン | 全国・広域 |
予算10万〜30万円でできる屋外広告
10万〜30万円程度の予算でも、地域密着型の屋外広告は十分に実施可能です。特に低コスト媒体として代表的なのが電柱広告で、月額3,000円〜6,000円程度から出稿できます。地方の野立て看板も月額2万円程度から運用できるケースがあり、商圏内の認知づくりに向いています。
また、駅構内のデジタルサイネージにも比較的安価な枠があります。たとえば品川駅中央改札内の柱タイプサイネージは、1週間・15秒・6分ロールで7万円程度からの料金例が公開されています(2026年3月時点の媒体資料に基づく一例)。
バス広告では、車体後部・側面の小型枠が月額数千円〜数万円から、車内ポスター(B3)も7日間で1.5万〜8.5万円程度から出稿可能です。
この予算帯では、広範囲への露出よりも「生活動線に接触するか」を重視するのがポイントです。ターゲットが日常的に通る場所を優先することで、限られた予算でも認知効果を得やすくなります。
予算50万〜100万円でできる屋外広告
50万〜100万円ほどの予算になると、エリア単位で認知を広げる施策が現実的になります。主要幹線道路沿いのロードサイン(年間20万〜100万円程度)や、壁面看板(月額5万〜50万円程度)を組み合わせて、商圏内での継続的な接触を狙えるレンジです。
デジタルサイネージでは、首都圏の代表的な屋外ビジョンに手が届き始めます。たとえば新宿ユニカビジョンや渋谷109フォーラムビジョンは、1週間・15秒×4回毎時で100万円程度の料金例が公開されています。バス広告では、1か月のパートラッピング(3万〜10万円程度)に複数路線を組み合わせる、または1年プランで30万〜100万円規模の運用も可能になります。
この価格帯では、「単発で終わらせない」という視点も重要です。看板と駅広告を組み合わせるなど、複数接点を作ることで接触回数が増え、認知定着につながりやすくなります。新店舗オープンや期間限定キャンペーンとの相性も良い予算帯です。
予算300万〜1,000万円でできる屋外広告
300万〜1,000万円の予算が確保できる場合は、首都圏の主要駅や電車内媒体など、広域での認知拡大効果を狙える媒体が選択肢に入ります。
デジタルサイネージでは、NewDaysビジョンネットワーク(首都圏94駅セット)が1週間・15秒で160万円程度、東京メトロのシブハコビジョン(銀座線渋谷駅)が1週間・1社買切りで350万円程度の料金例があります。
電車広告では、東京メトロ全線の中吊り広告(シングル)が約600万円/週、JR東日本の首都圏全線セットの中吊り広告(シングル)が約750万円/週、東京メトロのドア横ポスター(一部路線展開)が約700万円/週からの目安です。
1編成独占のADトレインも350万円〜から検討可能で、車体ラッピング(250万円〜/月)も含めれば、複数媒体を組み合わせたクロスメディア施策が現実的になります。
この価格帯では、「見られる数」だけでなく「ターゲット層と接触頻度の質」を意識した媒体選定がポイントです。
予算1,000万円以上でできる屋外広告
1,000万円以上の予算規模になると、首都圏ランドマーク級の大型媒体や、複数媒体の大規模一斉展開など、特に話題化しやすい施策が可能になります。
象徴的なのが、渋谷スクランブル交差点周辺の大型ビジョンで、1週間あたり1,000万〜2,000万円近い料金例が公開されています。
電車広告では、JR東日本のドア横ポスター大型展開が最大で2,000万円規模に達するケースもあり、利用者数の多い首都圏全線での集中展開が可能です。また、ADトレイン(350万円〜/2週間)に車体ラッピング(250万円〜/月)を複数編成で組み合わせる手法も、この予算帯ならではの選択肢です。
この規模では、掲出場所そのものがPR資産として機能します。SNSでの話題化や、テレビ・Webメディアでの二次的な露出につながる事例も多く、全国向けブランドの大型キャンペーンや、新商品ローンチ時の集中投下に適した予算帯です。
目的別に見る屋外広告のおすすめ媒体選び
屋外広告は、同じ予算でも目的によって最適な媒体が変わります。費用だけで判断すると、「思ったより効果が出なかった」という結果になりやすいため、まずは何を達成したいのか目的を整理することが大切です。
地域集客を目的にする場合
地域集客を目的にする場合は、広範囲への露出よりも「商圏内での接触頻度」を重視するのがおすすめです。
たとえば、店舗周辺の野立て看板やロードサイド看板は、生活動線に入りやすく、継続的な認知につながります。加えて、駅周辺サイネージを組み合わせることで、通勤・通学層への接触も狙えます。
この場合、媒体や立地次第で月額5万〜20万円程度から運用できるケースもあり、地域密着型のビジネスと相性の良い予算帯です。特に飲食店やクリニック、不動産会社などとの相性が良い施策といえます。
認知拡大を目的にする場合
認知拡大を狙う場合は、「どれだけ多くの人に接触できるか」がポイントになります。
そのため、主要駅や繁華街のサイネージ、大型ビジョンなど、人通りの多いエリアへの出稿が中心になります。短期間でも高頻度で露出できる媒体を選ぶことで、話題化やSNS拡散を狙いやすくなります。
また、単純な通行量だけではなく、「ターゲット層がいる場所か」を見ることも欠かせません。たとえば、若年層向け商材なら繁華街、ビジネス層向けならオフィス街周辺など、立地選定によって成果が変わります。
来店促進やキャンペーン告知を目的にする場合
来店促進やキャンペーン告知では、「見てもらう」だけでなく「行動につなげる導線設計」が重要です。
具体的には、QRコードや専用URLを掲載し、Webサイトやクーポンページへ誘導する方法がよく使われています。最近では、専用ハッシュタグを使ってSNS投稿につなげるケースも増えています。
また、キャンペーン系の屋外広告は短期集中型との相性が良く、1週間〜1ヶ月程度で一気に露出を高める手法が一般的です。駅広告と店舗周辺広告を組み合わせることで、「認知→来店」の流れを作りやすくなります。
予算が限られていても屋外広告で効果を出すコツ
屋外広告は高額なイメージを持たれやすいですが、媒体選びや運用次第で低予算でも活用しやすくなります。重要なのは、「広く出す」より「合う場所に出す」という考え方です。
ターゲットに合う立地を優先する
屋外広告では、単純な通行量だけでなく「誰が通るか」が重要です。
たとえば、ファミリー向けサービスなら住宅街近く、法人向けサービスならオフィス街周辺など、ターゲット属性に合わせて場所を選ぶことで、限られた予算でも効率よく接触できます。
また、競合が少ないエリアでは相対的に目立ちやすくなるため、あえて主要駅を外す戦略が有効なケースもあります。広告を見る人の動線を意識することがポイントです。
制作費と施工費を抑えて出稿する
屋外広告では、掲出料よりも制作・施工費が負担になるケースがあります。
費用を抑えたい場合は、看板サイズを必要以上に大きくしない、LED照明を減らす、高所施工を避けるなどの工夫が有効です。特に高所設置は足場費や高所作業車費用が増えやすいため、総額が大きく変わる場合があります。
また、デザインをシンプルにすることで制作コストを抑えやすくなり、視認性向上にもつながります。
短期出稿で効果検証を行う
初めて屋外広告を出す場合は、長期契約よりも短期テストから始める方法がおすすめです。
たとえば、媒体に応じて1週間〜数ヶ月程度の短期掲出で反応を見ながら、エリアやクリエイティブを改善していく方法があります。QRコードや専用LPを使えば、アクセス数や来店数をある程度測定することも可能です。
屋外広告は「出して終わり」ではなく、改善を重ねることで成果が安定しやすくなります。まずは小規模で試し、反応の良かったエリアに予算を集中させる考え方が効果的です。
屋外広告の予算に関するよくある質問
ここでは、屋外広告の予算に関するよくある質問にお答えします。
Q1. 屋外広告は最低いくらから始められますか?
A. 地方の野立て看板や乗降客数の少ない駅のポスター、小規模なデジタルサイネージなどであれば、数万円〜10万円台から始められるケースがあります。ただし、制作費や施工費が別途かかる場合があるため、総額で確認することが大切です。
Q2. 屋外広告はどれくらいの期間掲載するのが一般的ですか?
A. 看板広告は数ヶ月単位での掲載が一般的で、自治体の許可期間は通常3年以内とされるケースが多く、更新が必要になります。駅ポスターやサイネージは1週間〜1ヶ月単位で出稿できる場合があります。初めてなら短期掲載で反応を見る方法もおすすめです。
Q3. 屋外広告は効果測定できますか?
A. 完全な測定は難しいものの、QRコードや専用URL、専用電話番号を使えば反応を可視化できます。掲載前後の来店数や指名検索数を比較する方法も有効です。
Q4. 予算が少ない場合はどの屋外広告がおすすめですか?
A. 低予算なら、地方の野立て看板、小規模サイネージ、駅ポスターの短期出稿などが候補に挙がります。広範囲よりも、ターゲットが通る場所に絞ると費用対効果を高めやすくなります。
まとめ
屋外広告を予算別に検討する際は、以下のポイントを押さえることが大切です。
- 屋外広告の費用は、媒体費・制作費・施工費で考える
- 10万〜30万円でも地域密着型の広告は実施できる
- 50万〜100万円ではエリア認知や複数媒体の活用がしやすい
- 300万円以上なら大型ビジョンや主要駅サイネージも選択肢になる
- 予算だけでなく、目的・立地・ターゲットとの相性を見ることが重要
屋外広告は、予算が大きいほど有利とは限りません。自社の目的に合う場所と媒体を選べば、限られた予算でも成果につなげやすくなります。
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